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ゴーン氏の逃亡について思うこと

外井浩志

 ゴーン氏の逮捕、保釈、逃亡と日本の司法制度の是非が問われているが、ゴーン氏の批判もある意味では当たっており、その犯した所業の是非はともかく,日本の刑事司法制度は変わらなくてはならない時期に来ているように思える。又、刑事ばかりではなく民事司法制度も変わらなければならない。民事については,次回に述べることにしたい。以下、思いつくままに述べてみたい。

 今回の逮捕については、やはり司法取引があったとしか感じられず、公正公平の点で大いに疑問である。ゴーン氏の報酬の記載や業務上横領・背任行為が仮にあったとして、それを経理担当の取締役や監査役等の役員が,短くても数年間全く知らなかったということはどうしても納得できない。もし、そうだとすれば、それこそ,取締役、監査役等の著しい怠慢であろう。別にゴーン氏の肩を持つわけではないが、ゴーン氏のみを批判するわけにはいかないであろう。やはり、ゴーン氏の周囲にいた取締役、監査役の責任は明確にすべきである。刑事上の共同正犯とまでは言えないにしても、幇助くらいにはなり得るのではないであろうか。また,刑事上の責任は問えないにしても、会社法上の責任(民事責任)は問えるのではないであろうか。ゴーン氏に対して日産が責任を追及していることは知っているが、周囲の取締役や監査役等に対してはそのような動きが既にあるのかは知らない。日産自身はもとより、日産の株主は当然行うべきであろう。
 また、今回の逮捕、保釈、逃亡については、やはり刑事司法、特に検察による特別な思い入れがあったとしか考えられない。一度目の保釈の直後に逮捕・勾留があり、いかにも保釈に対する報復の感が禁じ得ない。検察による思い入れは相当なものであったろう。保釈を行うことが懸念されるのは逃亡のおそれと証拠隠滅のおそれからであろうが、日産の役員や社員の大半を捜査の協力者として確保しているはずであり、直接的な証拠は押さえているはずである。ゴーン氏が証拠隠滅を図ろうとしても海外の協力者か、ごく近しい友人や家族などであろうが、直接的な証拠は考えにくい。仮に保釈をしないとしてもその証拠を潰すことはできないであろうし、あまり意味があるとも思えない。その意味では証拠隠滅の防止というのは、保釈をしない理由としてはあまり有力なものとは言えないであろう。
 最後に逃亡であるが、これには、日本中が驚いたが、このような逃亡の方法があるとは誰も思いつかなかったのである。その意味では、裁判所や検察の予想を超える方法であり、本来予想することのできる範囲では逃亡のおそれはなかったということであろう。結果として保釈するべきではなかったのかもしれないが、それは結果であって、決定時には逃亡の虞はなかったということではなかろうか。
 以上より、保釈については速やかに行うべきであったと思う。その意味では,ゴーン氏の日本の刑事司法への批判は当たっているように思う。
(2020年1月14日記)


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