企業不祥事と公益通報者保護法の研究と分析
企業の不祥事はいまだに止まるところを知らない。何故にここまで不祥事が続くのかと考えてしまう。不祥事にも欲望丸出しで犯罪そのものが幼稚で愚かな行為もあるが、一見平和平穏を装った大人の知能的な不祥事もある。問題は後者であるが、そのような不祥事は、設立間もない零細企業であればともかく、大規模で、日本を代表するような著名企業が起こすことがしばしばなのである。一体何故かと考えてもなかなか回答は出てこない。おそらくは、長年1つの組織で勤務すると、会社といういわば社会の公器を自分の物であるかのように錯覚してしまうからではないであろうか。
著名な企業であれば、もともと学歴が高く、世間一般にみれば教養があり人格識見の優れた人物が多いので、違法なことをすることはないのではないかとも思う。しかし、現実はそうではない。要は、大企業になればなるほど、ライバル企業や取り巻く企業を意識して、立派な企業でありたい、不祥事や悪いことは隠してしまいたいという気持ちになるのであろう。人間の欲には際限はなく、企業も獲得したい利益には際限がないということであろうか。また、一旦手に入れたトップの地位を失いたくないからであろうか。特に、その組織を運営していく程の大物になると、金銭欲のみならず、名誉欲、権力欲も出てきて、自分の意志を押し通すことに生きがいを見出し、自分の存在を脅かそうとする存在に対して、抹殺しようとうする欲望に駆られるのではなかろうか。むろん、その権力者に蟻のように群がろうとする取り巻きの連中も後継者の地位を狙って、同じように権力者の擁護をしようとするのであろう。
人間は欲望の生き物であり、愚かな存在であり、常に自省をもって生きていかないと大恥をかき、最悪は経済的にも失墜し、刑事被告人になってしまうのであろう。このように考えていかないと、企業の不祥事を防止することはできない。
書誌情報
発行年月日 | 2021/9/28 |
著者 | 外井浩志 |
出版社 | とりい書房 |