55分図解早わかり 会社と社員のトラブル解決Q&A
今回、弁護士渡邊岳氏とともに、本書を分担して執筆することになりました。渡邊氏とは、同じ法律事務所において業務をともにすることも多くありますが、今回、これまでの実務経験をもとに、Q&A方式で、労働問題についてまとめることにしたのが本書です。
最近の労働問題の特色は、なんといっても現在進行形である退職・解雇・出向・転籍など、リストラにからむ雇用の問題です。それとの関連では、アウトソーシングに関連する雇用や労働条件の問題、賃金、退職金、昇進・昇格制度などの労働条件の根本的な見直しの問題、さらには、転職にからむ競業問題、秘密漏洩の問題、そのほか、セクハラの問題、過労死、過労自殺などの健康管理問題など多岐にわたっています。
これらの問題は、これまでの年功昇進、年功賃金、終身雇用という企業と社員の信頼関係と忠誠心の崩壊に起因しているといえるでしょう。企業と社員との信頼関係が希薄になれば、これまでお互いが問題視せず、我慢してきた労務上の問題が表面化して、いろいろとトラブルが発生し、労使双方にとって、つらい関係になってくることも予想されます。その中で、労使双方がきちんと対処していくためには、正確な知識と適正な判断力が必要です。特に、従業員組合が停滞している今日、労働者は自分のことは自分で判断していかなくてはならないのであり、その要請は一層強いといえます。
本書は、そういう観点から労務問題全般にわたって述べた、簡潔なノウハウ本で、労使双方にとって利用しやすい内容になっています。それぞれの立場から、本書が利用されることを期待しています。しかも、本書の質問部分は渡邊氏が日ごろの相談の中からピックアップして作成したものですから、実務的によく生じる問題になっています。その意味でも、本書は利用しやすいものといえるでしょう。
書誌情報
発行年月日 | 1999/7/1 |
著者 | 外井浩志, 渡辺 岳 |
出版社 | テイアイエス |