放置は許されない 就業規則総点検
就業規則は、職場の憲法であり、企業の人事労務管理の基本ではあるが、法務部など専門部のある企業は別として、意外にその手直しがなおざりにされ、問題が起こってから慌てて対処することが多い。しかし、古い規則は役に立たないどころか、場合によっては有害な場合すらある。その意味では、企業は就業規則の持つ意義を見直し、日頃から注意して念入りに手入れするべきである。
この数年の労働法関係の動きは目まぐるしい。介護休業法の施行、改正男女雇用機会均等法の施行、労働基準法の2度にわたる改正、さらには労働者派遣法の2度にわたる大改正、高齢者雇用安定法の改正など枚挙にいとまがない。しかも、企業が人事労務管理をするためには、法律のみを勉強するのではなく、その関係政省令、告示、通達にも目を通す必要がある。また、それ以上に重要なのは判例である。最近の裁判例は極めて斬新で、従来の社会通念を覆えすようなものも多い。今更ながら、経済社会の動き、労働問題の動きの素早さ、目まぐるしさに舌を巻くこの頃である。そうだとすれば、企業としては迅速かつ正確に、人事労務の知識を集めてマスターし、それを就業規則に反映させなくてはならない。そのためには日頃からのたゆまぬ努力が必要である。
本書は、このような観点から、できるだけ多くの文例を紹介しつつ、就業規則の内容を検討してみた。必ずしも、オーソドックスな内容ではなく、筆者個人の意見にすぎないものも少なくない。しかし、企業の就業規則は、本来個性あるものであるべきであり、他企業の規則をそっくり模倣するのではだめである。その意味で、本書を利用される方も、本書の文例を模倣するのではなく、さらに自社に合った内容にして欲しいのである。また、利用する方々の更なる工夫を念願してやまない。本書の初版は平成11年1月であったが、今回6年ぶりに手を加えてみて、その内容の変化の多様さに驚いている。今後とも、本書の内容をアップトツーデートなものにできるよう努力していきたい。
書誌情報
発行年月日 | 2005/3/25 |
著者 | 外井浩志 |
出版社 | 政経研究所 |