会話で学ぶこれからの労務管理講座

 今回、税務研究会のご厚意で本書を出版することができた。本書は、スタッフアドバイザーに連載中の「管理職のための労務管理講座」が連載50回を超えたことを契機として単行本にまとめたものである。
 最近は労働法の制定や改正が頻繁で、また、新聞マスコミでも労働事件を取り上げる機会が飛躍的に増えてきた。また、現在の労働問題は多種多様であり、職場において何気ない日常の事柄が法律問題に発展することが意外に多い。つまり、職場の管理職は日頃から労働問題に直面し、それに対して迅速かつ適切に対応しなければならないという立場にある。その意味では、日頃から労働法や労働問題について研修会などに参加して勉強したり、労働法の本を読むなどして最低限の知識を身につけなければならない。前述の「管理職のための労務管理講座」はそういう観点から、日常起こりがちな些細な問題を取り上げている。そしてその特徴は、筆者を含む三名の対話方式を取り入れたことである。労働問題の記事などでも対話方式によるものも散見するが、三名による対話方式はおそらく初めてであろう。
 労働問題は、労働者、労組組合側と使用者側の利害対立が比較的明確であり、それぞれの立場による意見の相違は顕著であるが、二者による会話方式ではその利害の対立が鮮明になりすぎて、ワンパターンになることが多い。その意味では三者による会話方法は労働問題を理解するのに極めて適切な方法であったと思われる(なお、この方法を考えたのは筆者ではなく、スタッフアドバイザー編集部である)。本書が労働問題の理解をするのに少しでも役に立てば幸いである。

書誌情報

発行年月日2008/08
著者外井浩志
出版社税務研究会出版局