退職金制度の変更と判例Q&A
経済のグローバル化の進展等に伴い、我が国の経済社会構造は、大きな転換期を迎えています。また、バブル崩壊から始まる平成期の不況、サブプライムローンの問題、リーマンショックなどの海外からの影響等で企業の経営環境が悪化し、企業倒産が相次いています。さらに、直近の東日本大震災による深刻な被害や原子力発電所の事故による電力事情の逼迫が事態を一層悪化させています。
その他急速に進行する少子高齢化に対応するため、公的年金制度の改革は避けることができない課題となっており、各個人においても、将来の生活設計の態様を多様化していくことが必要であると考えられます。
このようなさまざまな状況の下で、企業と労働者を取り巻く環境の変化は目まぐるしいものがあります。退職金制度についていえば、賃金体系の重心が、従来の年功序列型から能力・成果主義へシフトしていくことなどを反映し、多くの企業において、従来の制度から、支給条件、給付額等の変更、他制度への意向あるいは廃止が検討されています。
本書は、「退職金制度の裁判事例と変更手続き」(平成15年2月刊行)をその後の法改正に合わせ、また、最近の裁判例を追加して改訂したものです。
また、本書は、退職金制度の変更・移行の過程において、留意すべき点、とりわけ労使間の合意形成のためのポイントとなる点や、手続に重点を置き、裁判事例を紹介しながら解説しています。
本書が、各企業の退職金制度の見直しの場面等において、実務担当者等の関係者の方々に役立てられ、実践の参考書として一助となれば大変幸いです。
書誌情報
発行年月日 | 2011/7/15 |
編著 | 栩木敬/外井浩志 |
出版社 | 労働調査会 |