建設現場・工場でトラブルを起こさないための 外国人(研修生・留学生)雇用のポイント

 近年、街頭や電車の中で、しばしば外国人を見かける。その外国人も観光で来日している外国人とは見受けられず、建設現場や製造業の町工場で働いているという身なりをしている者が大半である。おそらく彼らのうち多くは、不法就労者であろう。入管法上は罪を犯していながら、彼らには罪の意識があまりないのか、屈託のない笑顔が印象的であり、観光目的の外国人よりもずっと親しみを感ずるというのが正直な気持ちである。
 しかし、不法就労者である以上は、違法行為を行っているのであり、企業はその者たちに手を貸してはならない。厳しいようであるが、企業は彼らを雇用することで、人手不足を解消するための方策とすることはできないのである。この点は、新入管法により明確に不法就労助長罪として処罰の対象となった。

 本書は、新入管法の施行が本年6月1日になったことを契機に、不法就労の多い建設業・製造業を対象として、正常な雇用関係を築くこと、および仮に不法就労外国人労働者を雇用していた場合にも不当な取扱いをしないようにすることを目的として書いたものであり、脱法行為を行うことを勧奨するものではない。その意味では、人手不足に悩む建設業・製造業にとっては物足りないものと感ぜられるかもしれないが、それは致し方のないところである。

書誌情報

発行年月日1990/6/1
著者外井浩志
出版社清文社