就業規則の知識
就業規則は、職場の憲法とも言われ、職場の規律や労働者の基本的労働条件を定めている重要な文書です。その就業規則が十分に整備されていない企業が少なくありませんが、全くなげかわしいことです。
元々、就業規則というのは、職場が円満に機能している場合にはほとんど必要とせず、必ずしも円満ではない状態になって、はじめてその役割を果たすことが多いのです。そのため、職場の労働者も普段は就業規則を見ることもあまりなく、現実に問題に直面してあわててその内容を確認したりします。しかし本来、就業規則をは職場において周知されているはずですから、そのような状態は到底望ましい状態とは言えません。 他方、職場を統括する立場の監督者は、各自が就業規則の内容を熟知しておく必要があります。就業規則の内容や労働条件については人事・総務・労務の問題だと考えているとすれば大きな間違いです。各職場、各現場の監督者が、実際には職場規律を遵守させ、労働条件を保障する義務があります。また、就業規則の内容を職場の全員が理解し、さらに法令・判例などの変遷に応じて、機敏に対応させていくことが肝要です。そのためには、普段からのたゆまぬ努力が必要であることは言うまでもありません。
本書は、こうした観点から、就業規則の持つ役割から各項目に至るまでかなり詳しく解説しました。
まず、企業の担当者や労働組合の役員、その他職場の皆さんにお願いしたいのは、自社の就業規則の条文を読みこなし、十分に理解することです。就業規則が他社のそれをそのまま引き写したものであるとすれば、全くなげかわしい限りです。自分たちの職場の憲法は、自分たちの手で考えて作り上げてこそ真に価値のあるものになります。そのためには、労働関係の法令、通達、判例についてもその都度勉強していく必要があります。
書誌情報
発行年月日 | 2002/08 |
著者 | 外井浩志 |
出版社 | 日本経済新聞社 |