新・労働法実務Q&A 改正 男女雇用機会均等法、育児・介護休業法

 本書は男女雇用機会均等法の改正・施行、育児・介護休業法の施行に合わせて、男女の雇用問題の全般にわたって労務上の法律問題を解説するために書いたものである。「新・労働法実務Q&Aシリーズ」としては五冊目である。 この分野は、昭和61年の男女雇用機会均等法の施行から12年を経た現在においても未だに流動的な側面が多く、永遠の労働問題ともいえる分野である。なぜなら、日本における労働慣行は、「男は外で仕事、女は家庭で仕事」という意識から脱却しえないまま戦後40年を経過して、はじめて昭和61年に意識的な法改革がなされたのであり、下からの自然発生的な改革というよりは、上からの意識的な法改革であったからである。その意識的な法改革が、12年を経て、次第に社会通念に浸透しつつあるものの、未だに確立した社会通念にはなり得ていないのである。法理論としては当然のことのように思えるが、いかに社会の意識を変えることが難しいかの証拠ともいえよう。

 本書は、この男女均等問題について実例を踏まえながら、できるだけ実務的に解説してみた。ただし、どうしても理念と実態とのギャップが生じているために、必ずしも納得し得ない部分が多いかもしれない。しかしながら、前述のようにこの分野はいわば上からの意識改革的な要素が大きいために、現状ではやむを得ないともいえよう。労働関係の法律分野では、どちらかといえば社会実態が先行し、それに追随して法律のできることが多いが、均等法は全く逆であったといえる。
 その外、均等法の改正に伴う労働基準法の改正、及び女性問題に言及するということで育児・介護休業法についても解説した。育児・介護休業法は難解で、かつ、詳細な定めが多いが、その内容に基づいた就業規則の整備が第一の課題であろう。特に、介護休業は広く利用されることが予想されるので、是非とも制度の正確な理解が必要といえる。本書をこれからの男女の雇用管理をめぐる指針としてご活用いただければ幸いである。
 また、読者が本書を参考にして、より一層、労働問題に関心をもって実務を処理されることを期待したい。

書誌情報

発行年月日1998/11
著者外井浩志
出版社生産性出版