労働者派遣法100問100答 法律の解説から実務対応まで

 今回、労働者派遣法が改正され、平成16年3月1日に施行されたことに伴い、労働者派遣法の解説書を書くことになった。労働者派遣法は、昭和60年に制定され翌61年7月から施行されているが、その後数次の改正がなされ、特に平成11年改正、平成15年改正は大改正であり、その結果、内容は転々と流転し、考え方も抜本的に変更されており、かつ、政令、規則、告示等の変遷はめざましく複雑となっており、通達、業務取扱要領まで含めて初めて派遣法の全容がわかるということである。このような経過であるため、執筆をするに当たって私も気が重かったのであるが、たまたま、税務研究会発行の月刊『スタッフアドバイザー』の2004年3月号に改正派遣法の特集を書かせて頂くことになり、その時にそれなりに勉強したことから、加温会思い切って労働者派遣法の解説書を書くことに決意したのである。

 なお、そのスタッフアドバイザー2004年3月号の特集の記載内容に若干の手を加えればよいと高をくくっていたところ、そのしっぴつごに業務取扱要領が出されたこと等から、その特集の原稿をそのまま生かすことは到底できないことに気がつき、結局は、一部を生かしたが大半は実質的には書き直しということになった。そのため、執筆の負担は予想していたよりも重かった。

 改正派遣法は、今後益々利用されて来るであろう労働者派遣の基本法であり、労働関係に携わる者にとっては益々その比重の占める割合が大きくなるであろう法律であるが、あまり考え方が浸透していないという実態がある。しかしながら、これではよいはずはなく、派遣元事業者や派遣先企業の担当者は是非ともよくその内容を習得しなくてはならない。そのために、本書が活用されればそれに勝る喜びはない。

 また、「ひとつのテーマを多角的に」というスタッフアドバイザー誌の方針をふまえ、本書の巻末に労働者派遣を活用する際の税務処理について、税理士の森下治氏による解説を収録させていただくことになった。快くお引き受けいただいた同氏に心より感謝申し上げる。

書誌情報

発行年月日2004/08
著者外井浩志
出版社税務研究会出版局