偽装請負 労働者派遣と請負の知識

　ここ最近、偽装請負問題が急激に浮上してきた。本来、偽装請負の問題は、派遣法が施行された昭和61年7月からあり、さらにそれ以前から労働者供給事業と請負の問題は存在していた。しかし、個別事案において時たま偽装請負が問題となることはあったが、社会問題となったのはごく最近の平成17、18年になってからである。
　平成16年3月1日に改正派遣法の施行がなされ、労働者派遣が大幅に解禁されたことで労働者派遣に対する認識が急激に高まり、他方、製造業務にも限定つきではあるが派遣が導入できることになったため、これまでの請負契約に対する適法性の問題が浮き彫りになってきた。
　さらに、出向形態によって本来派遣で行うべきことを出向で行うとい偽装出向という新しい問題も生じ、労働者供給事業であるか否かが争点になっている。
　労働者派遣という労働者の需給調整システムをめぐる問題が、派遣法施行20年を経ていまようやく本格的に議論されるようになった。

　本書は、まず改正派遣法を論じ、その関係で問題となっている偽装請負、偽装出向等についての法的性格と違法性、現実的な対応策を論じてみた。書きにくい問題ではあるが、社会のニーズに合わせて個人的な意見を論じてみたので、諸兄のご批判を賜りたい。