改訂 実務解説 労働基準法

 本書を出してから既に5年が経過し、今回見直しをすることになった。労基法の大改正は本書を作成したときであるので、改訂といってもそんなに大したことはないだろうと考えていたのだが、それは認識の甘さであり、この5年間の変更の多さに驚いた。労働契約法の制定、最低賃金法の改正、パート労働法の大改正、労働法の改正、男女雇用機会均等法の大改正、労働時間等設定改善法の改正、その他、関係政省令、告示、通達の制定、改正等、本書に関係する部分だけでも相当の制定、改正がなされている。
 その他、それほど多くはないが、裁判例も新しく生まれている。労働法といえば、会社法、倒産法、知財法などの花形の法分野の陰に隠れて地味な法律分野であったが、最近では大きな書店では労働関係の分野のコーナーもできたようであり、私達、労働問題に関係する者もようやく注目される時代になったようであり、好ましい状況になってきたようである。また、労働問題は21世紀に入ってまさに混迷の時代を迎え、過労死・過労自殺問題、セクシャルハラスメント・パワーハラスメント問題、サービス残業・管理監督者問題、偽装請負問題、日雇派遣問題など一層の多様化、複雑化してきており、企業もその対応に苦慮していることであろう。
 しかし、このような労働問題が多様化している時代であるからこそ、そのような応用編の派生の問題の勉強ばかりでなく基本が大事であり、労働基準法、労働組合法を勉強する必要性は一段と強まったのではないかと考える。本書は、労働基準法の解説書であるが、基本を勉強する意味において、是非本書を活用して頂きたいと考える次第である。

書誌情報

発行年月日2009/8/20
著者外井浩志
出版社労働新聞社